夫のモラハラを治すための1番の方法。
それは、これまで夫に対して効果のなかった対応は何だったのかを探し出し、それに代わるモラハラ対処法を身につけていただくことになります。
ですから、モラハラ対処法を身につける前に、まずは夫にしてはいけない対応があることを知らなければなりません。
この記事では、『夫にしてはいけない対応とは何か?』をご紹介して、その後に、モラハラを治すための基本となる対処法について説明いたします。
モラハラ夫にしてはいけない対応
「私が悪いのだからワガママを言ってはいけない」
ある相談者様のお話です。
彼女は夫婦共働きでご自身はネイルサロンをされています。
カウンセリングで彼女は私にこのようにおっしゃいました。
▼彼女
「夫より私の方が生活費を多く負担していて辛いです。だから、夫にもう少し出して欲しいというのが私のお願いなんですが、でもそう考えるのは私のワガママなのかな。。。と考えてしまいます」
▼私
「彼にはもう少し出して欲しいって伝えたことはあるのですか?」
▼彼女
「はい。でもそう言ったら、『そんなにお金が厳しいのならサロンを辞めたら?稼げないのに好きなことを仕事にしているおまえが悪い!』と言われるんです」
▼私
「あなたの方が夫より生活費を多く負担しているのに、そんな言い方はないですよね!」
▼彼女
「でも、私だけ好きなことをしていて悪いなと思います」
この相談者さまの夫はサラリーマンです。安定した収入があります。
彼女がお願いしている生活費を出せるくらいは本当は稼いでいるといいます。
ですから、彼女だけ金銭的にキツい思いをしているのは誰の目から見ても不平等なのです。
でも、彼女はいつも夫から仕事の愚痴を聞かされているので、なぜか自分が好きな仕事をしていることに対して罪悪感を感じていました。
あたかも、夫が生活費を入れてくれないのは、自分が悪いからだというように。
彼女だって好きな仕事とはいえ、必死の思いでサロンの売上をやりくりしているにもかかわらずです。
夫がモラハラをするのは、あなたが悪いとか、ダメだとか、ワガママだからではありません。
自分が悪いと思ってしまう罪悪感につけ込まれているからです。
先ほどの相談者さまの場合、生活費を夫以上に負担しています。
それに彼女は家事、育児も担当しています。
それなのに、自分が好きな仕事をして何がいけないですか?
「頑張って夫に尽くせば夫も変わってくれるはず」
夫からモラハラを受けやすい人は罪悪感を抱きやすいのですが、そうなってしまう原因は実は他にもあります。
親や友達に相談して返ってくるアドバイスです。
「あなたにも悪いところがあるんでしょ」
「どこの夫婦もそんなもん。あなたの我慢が足りないのよ」
「旦那さんがそこまでするほど、あなたが何かしたんじゃないの?」
本人は自分の辛い気持ちを「分かって欲しい」「味方になって欲しい」と思って相談されたのだと思います。
それなのに、こんな風に言われてしまうのは辛いですよね。
また、こういうことばかり周りの人から言われ続けると、本当に私が悪いんじゃないかと思うようになってもおかしくありません。
さらに、夫への対応についてもっともらしいアドバイスを言われることもあります。
「旦那さんへは常に笑顔と優しさを心がけて、彼の未熟な部分は受け入れてあげなきゃ!」
「まずあなたが旦那さんに尽くして、彼のことを分かってあげようと努めれば、きっと彼も変わってくれるわよ」
「あなたが夫に尽くした分だけ返ってくるようになってるんだから」
確かにこれらは一見、正しそうな対応に思えます。
でも、ここで間違うのは、自分を犠牲にして無理してまでやってしまうことです。
「これだけ夫のために尽くせば、変わってくれるだろう」と思って夫に一生懸命愛情を注ぐ。
それで夫のモラハラが治らないと「どうしてこんなに努力しているのに、分かってくれないの!」と悲しくなったり、腹が立ったりする。。。
こんなことを繰り返していないでしょうか?
「妻は我慢して、波風を立てないことが大切よね」
モラハラ夫への対応として自分の気持ちを抑え込んだり、我慢したりするのはストレスだと思います。
ただし、無用な波風を立てないために、ある程度の我慢は必要だと、私は思っています。
それは、夫婦間だけでなく、友達や会社の同僚たちと良好な人間関係を築くためにも必要ですから。
言いたいことをズバズバと言ってばかりいたら、夫婦も人間関係もうまくいきません。
大事なのは、我慢したり、自分の言いたいことをきちんと口に出して伝えたりする[オン/オフ]のスイッチを、上手に切り替えられるようになることだと思います。
しかし、夫のモラハラを受けてしまう人はこの切り替えが上手ではありません。
多くの場合は我慢し過ぎます。
なぜ、そうなるのでしょうか?
一つ目の理由は、罪悪感になります。
私が悪いと思い込みやすい傾向が、反射的に我慢のスイッチをオンにしやすくするからです。
そして、二つ目の理由は、自己主張することに対する抵抗があります。
その抵抗は以下のような不安や怖れによって頻繁に引き起こされます。
・夫を不機嫌にして怒られるかも…
・ワガママと思われないかな…
・ケンカになったらどうしよう…
さらに、こういう方は他の人間関係においても以下のような不安や怖れを持つ傾向があります。
・嫌われたらどうしよう…
・相手を傷つけたくない…
・対立したらどうしよう…
このような不安や怖れがあるために、過剰に自分の気持ちを抑え込んだり、我慢したりするようになってしまうのです。
でも、あなただけが我慢して夫に気を使ってばかりいると、自分の立場を弱くしてしまいます。
夫婦は心理的に上下関係になってはいけません。
夫婦は『対等な関係』であっていいと思います。
ところが、夫が家計を支えているから…一家の大黒柱だから…妻は夫に従うべきだから…などと言って妻は我慢するのがいい対応のように思い込んでいる方がおられます。
そのために、妻は夫の機嫌を取ろうとして下手に出てしまう。
何か言われたら「自分が悪い」と反省してしまう。
そのような対応が『ワガママな夫と家政婦のような妻』という関係を作ってしまいます。
夫のモラハラを治す対処法
ここからは、上記の『夫にしてはいけない対応』を踏まえて、夫のモラハラを治すための基本となる対処法をご説明します。
まず最初に大切なのは、あなたが自分を大切にできるようになることです。
自分を犠牲にするのではなく、大切にできることは非常に重要になります。
自分のことを大切にできるようになると「私は私でいいんだ」という自己肯定感を高めることができます。
さらに、心にも余裕が生まれますので、夫のモラハラを治す対処法を”無理なく自然に”できるようになります。
では、その対処法とは何か?
基本になるのは、夫に自分がされて嫌なことはイヤだと伝えられるようになることです。
夫の要求に対して完璧に応えようとするのではなく、できないことは「できない」、嫌なことは「イヤだ」と言えるようになって欲しいのです。
なぜかというと、あなたがイヤだと言えるようにならないと、夫から軽く見られてしまう(=甘えられる)からになります。
夫から軽く見られている状態のままでは、夫は絶対にあなたの言葉を聞き入れてくれません。
これは、親の話を聞かない子供が、他の大人や学校の先生の話を聞くのと同じ状態になります。
子どもが親の言うことを聞かないのは、親に甘えている(=軽く見ている)からです。
さらに、夫に嫌なことはイヤだと言えるようになるメリットはもう一つあります。
夫のモラハラ的な言動を受け流せるサバサバした性格が身につきます。
あなたは夫の言うことにいちいち反応して、考え込んだり、胸を痛めたりしていませんか?
夫にイヤと言えるようになると、そういうところが無くなっていきます。
ただし、そうなるためには大事なポイントがあります。
夫が聞き入れてくれるハードルが比較的低そうなものからイヤだと伝えてください。
夫のモラハラがあなたにとって大きな問題になるのは、彼への不満やストレスが長年の間に蓄積していて、それが”苦痛”として表面化している時だと思います。
このような時は、心に余裕が持てず、精神的にも追い詰められていたりするでしょう。
そのために、小さなことをやっても効果がないと思われがちですが、そうではありません。
逆に、いきなりハードルが高いことをやろうとすると、夫の強い抵抗にあって、火に油を注ぐだけです。
まずは小さなことから彼にイヤだと言えるようになって、それを積み重ねながら少しずつハードルを上げていくように心がけてください。
モラハラ対処法について良く聞かれる質問
質問1『夫に嫌だと言いたいけど怖くて言えません。どうしたらいいでしょうか?』
こういう方に対して、私は「頑張れ!」とか「勇気を出せ!」などと精神論を言うのは良くないと思っています。
なぜなら、そのことで本人を傷つけてしまうことがありますから。
人は誰でも頭では理解していてもできないということはあります。
本人の中では嫌だと言いたい気持ちがあるのにそれができないのを責められるのは辛いですよね。
頭では分かっていてもできないことがあるのは、潜在意識に怖れがあるためです。
ですから、本人がそれを無理なくできるようになるには、潜在意識の怖れを取り除くことが必要になります。
それをせずに無理やり嫌だと言えたとしても、数ヶ月経つと元に戻ってしまい行き詰まってしまいます。
また、こうした悪循環は自己肯定感をじわじわと傷つけることにもなります。
では、どうすれば潜在意識にある怖れを取り除くことができるのでしょうか?
よくあるカウンセリングではあなたの過去の辛い記憶を思い出したりして、潜在意識にある怖れの原因を探し出そうとするでしょう。
しかし、私はそういうことはあまりしません。
過去の辛い記憶を思い出すのはしんどいですから。
それよりも、先にお伝えしたように、夫が聞き入れてくれるハードルが比較的低そうなものは何かを相談者さまと一緒に考えて、対処法を実行していただきます。
実行してみて何かあっても大丈夫なように、すぐに私にLINEで相談ができるようにもしています。
自分にできそうな対処法から行動してみて、夫のモラハラに少しでも効果があるという手応えを得てもらうことで、潜在意識にある怖れを着実に取り除くのです。
質問2『夫に嫌だと言っているけれども変わってくれません。どうしたらいいでしょうか?』
ちょうど昨日の夜、モラハラをしていた男性のカウンセリングでした。
※ 私は、モラハラをする男性で自分から治したいという気持ちがある方のサポートもしています。
その時、彼がこんな話をされたのです。
「やっと自分が妻に甘えていたことに気づけました。
これまでは自分のことを分かって欲しいという承認欲求を妻に押し付けて、分かってくれない妻の方が悪いとしか考えられませんでした。
でも、それが私の甘えだったと分かり、妻が悪いのではなく、私の方が悪いということが腑に落ちました」
彼が妻への甘えに気づけたのは、自分の二面性に気づけたからになります。
職場では承認されなくてもカッと怒ったりはしないのに、妻にだけそうなるのは甘えのせいだと理解できたのです。
彼のようにモラハラを治せるタイプの夫には二面性があって、その主な原因は妻への甘えになります。
成人になってもその甘えが出てしまう人を、心理学では「自己愛性人格」と呼んでいますが、妻に甘えたいという欲求は、幼少期に両親からこの欲求にどう応えてもらったかによって大きく左右されます。
母親からは、甘えたいという欲求を十分に満たしてもらう。(=健全な依存)
そして、父親からは、母親からの親離れを促してもらう。(=自立への後押し)
この両親の関わり方が必要になります。
自己愛性人格の人は、両親のどちらの関わり方も不十分であったと考えられます。
ですから、自己愛性人格の夫のモラハラを治すための対処法は、母親のような対応と父親のような対応の両方が必要になります。
夫の欲求を受け入れてあげる母親的な対応だけではダメですし、いけないことはいけないと教えてあげる父親的な対応だけでも効果はないのです。
いただいた質問の『夫に嫌だと言っているけれども、変わってくれません』というのは、母親的な対応がうまくできていないことが原因だと思います。
夫からされて嫌なことはイヤだと言うのは、父親的な対応になるからです。
おそらく母親的な対応と父親的な対応とのバランスが良くないのでしょう。
母親的な対応のポイントが外れているケースも考えられます。
夫婦関係も人間関係も”押したり引いたり”が大事です。
それが二人の関係性のバランスを対等でちょうどいい感じに保つコツになります。
『夫に嫌だと言っているけれども、変わってくれません』このように感じている方は、夫に言い過ぎていないかどうかを振り返ったり、母親的な対応を意識してやってみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
⇒ 著者:モラハラ改善カウンセラー 大脇秀一郎のプロフィールはこちら
小冊子プレゼント
「どうせ夫は変わらない…」
そう思っていらっしゃいませんか?
75名中60人の女性が夫との関係を改善できている、そんな方法があります。
その全てをモラハラ改善マニュアルとして小冊子(PDF)にまとめました。
あなたも今すぐ申し込みをして、モラハラ対処の正しい方法を学びませんか?
オススメ記事
体験カウンセリングのご案内
一度相談してみたいけど、
このような不安もあるかと思います。
そして一歩踏み出すのを迷ってしまうという方のために、体験カウンセリングをご用意させていただきました。