目次
夫のモラハラを治すための対処法を身につけるために大事なことの一つは、夫の性格的特徴とその背後にある心理に目を向けることです。
この記事では、モラハラ夫の原因を[性格面]と[心理的な成熟面]の2つの側面から解説していきます。
モラハラ夫の原因[性格面:自己愛性パーソナリティ]
モラハラ夫の原因の一つには、性格的な要素が大きく影響しています。
彼らの性格にはある共通する特徴が見られるからです。
その特徴というのは、特権意識が強く、物事が自分中心に進まないと気が済まないところになります。
そのために、自分の方が上だと思って見下している相手を、自分の思う通りに従わせようとします。
そして、相手が自分に従うと分かれば、「俺は正しい!」という思い込みをだんだん膨らませて、
「自分より下の妻には何を言ってもいい!」
「妻が自分に意見や批判をすることは許さない!」
という態度を強くしてしまいます。
また、物事を考える際も自己中心的になりがちなので、他人の気持ちや意見を理解しようとしたり、それに気づこうとしたりしません。
そのために、共感性が乏しく、妻を傷つけるようなことを平気で言ったりします。
心理学では上記のような性格的特徴を『自己愛性パーソナリティ』と呼んでいます。
夫の性格の50%は生育環境が影響
私たちの性格は両親から受け継いだDNAと育った環境に大きく左右されます。
性格形成についての心理学の研究によると、育った環境の占める割合は平均で50%にもなるのだそうです。
性格における育った環境の影響はすごく大きいですね。
では、夫の性格『自己愛性パーソナリティ』に大きな影響を与える生育環境にはどのようなものがあるのでしょうか?
主な3つの要因をご紹介します。
親のモラハラを見て育った
夫のモラハラで苦しんでいる女性のご相談に乗っていると、夫の親、特に父親が母親にモラハラをしていたとか、亭主関白だったとかいう話をよく聞きます。
中には母親がそうだったというケースもお聞きします。
どちらにせよ、そのような両親のもとで育った場合、子どもは親を見て同じ行動を身につけてしまうことがあります。
心理学ではこのように親とそっくりな行動を身につけることを「モデリング」と呼んでいます。
たとえば、父親が母親にモラハラをしているところを見て、息子は「男とはこうあるべきなんだ」「夫婦とはこういうものなんだ」「妻にはこうしていいんだ」と知らず知らずのうちに学習してしまうのです。
また、被害者女性のお話をお聞きしていると以下の質問を受けることがあります。
「夫はモラハラをしていた義父のことを『嫌いだ』『恨んでいる』などと言っています。それなのにどうして義父と同じモラハラを夫もするのでしょうか?」
このことは、モデリングが潜在意識的に行われることと関係しています。
子どもの頃、モラハラをしていた親が嫌いだったとしても、潜在意識下ではモデリングが行われていた可能性が高いので、当人は無意識のうちに親と同じことを再現してしまうのです。
親からの愛情が不足していたり、過保護または過干渉の親に育てられた
愛情をかけられない親や過保護や過干渉の親に共通して言えるのは、子どもの自立を阻害してしまうことになります。
私たちは自立を阻害されると、自分に自信を持てません。
自己愛性パーソナリティの人は、根本のところで自分に自信が持てない点を、妻を服従させたり、言うことを聞かせたりして、補おうとする傾向が認めらます。
また、自分のことを妻に認めてもらおうとする承認欲求も過大になります。
「オレは正しくて、悪いのは全てお前だ!」
このような理不尽な主張を妻に認めさせようとするのは、承認欲求が強い証拠で、本当は自分に自信がないのです。
日本の男性優位社会による影響
内閣府が公表している統計データによると、モラハラをするのは男性が圧倒的に多いのが分かります。
なぜ、男性の方が多いのでしょうか?
その理由の一つは、日本の男女格差がいまだに大きいことが考えられます。
日本には男尊女卑の価値観がいまだに色濃く残っていて、政治家であっても時代錯誤が甚だしい人をテレビでよく見かけます。
また、世界経済フォーラムが2022年に発表した『男女格差ランキング』では、日本は先進国の中で最も悪い116位でした。(146カ国中)
このように男性優位の価値観が根強く残っている日本社会の影響も、モラハラ夫を形成する背景になっている、と私は思っています。
モラハラをする夫の心理
ここまではモラハラ夫の原因を性格面から見てきました。
次は、心理面にスポットライトを当てていきます。
実は、同じ自己愛性パーソナリティの人でも、心理的問題を克服できればモラハラが治っていきます。
そのことを理解していただくために、最初にモラハラという行為を心理学では何というのか?
ここからお話します。
心理学ではモラハラ的な言動のことを「アクティングアウト」と言います。
誰でも自分の思い通りにならない時はフラストレーションを感じますよね。
例えば、、、
朝支度でバタバタしているのに、子供が全然言うことを聞いてくれない時…
急いでいるのにバスや電車が時間通りに来ない時…
このような時に、私たちの心の中にはフラストレーションが生じます。
そのフラストレーションが大きい場合、私たちの心は「アクティングアウト」という形で抱えきれないフラストレーションを解消しようとするのです。
モラハラというのは、そのアクティングアウトの一形態になります。
ただ、夫のようにすべての人がフラストレーションを感じたからといって、
- 自分のイライラを人のせいにする
- 文句や不満を人に向かって言う
- 不機嫌や怒りを人にぶつける
このような言動をするわけではありません。
人によっては、
-
- お酒に依存する
- 衝動的な買い物を繰り返す
- ギャンブルにのめり込む
これらもアクティングアウトの例になります。
モラハラ夫の原因[心理的な成熟面]
このようにアクティングアウトには、モラハラ以外にもいろいろな形があるわけですが、どのような形を取るにせよ、その原因にはある共通する”心理的な問題”が潜んでいます。
それは「心の器が育っていない」ということです。
心の器とは、自分のネガティブな感情を受け入れるキャパシティ(容量)を言います。
心の器のキャパシティ(容量)が大きければ、自分の思い通りにならないことがあってフラストレーションを感じたとしても、それをアクティングアウトという不適切な形で解消することはありません。
つまり、モラハラ夫の原因になるもう一つの要因は心の器が小さいことで、そのためにすぐに容量オーバーになり、抱えきれないフラストレーションを妻に向けて解消しようとしているのです。
モラハラ夫の原因が夫婦の関係性にあるケース
最後に、モラハラ夫の原因が夫婦の関係性にあるケースをお話します。
ただし、これから述べる内容はすべての夫に当てはまるものではありません。
当てはまるケースは、夫が二面性を持っているタイプになります。
モラハラ夫の二面性というのは、家庭以外の仕事や友達、近所付き合いでは自分の思い通りにならないことがあってもイライラを表に出さないように「グッ」と自制できるのに、妻に対してだけはそれができない夫のことを言います。
なぜ、二面性のある夫は、妻の前でだけモラハラ的な自分を出すのでしょうか?
モラハラ夫の精神年齢が幼く見える理由
結論から言いますと、、、
妻の前でだけモラハラをする夫は、その時「子どもがえり」をしているのです。
小さな子どもは、
-
-
- お母さんは僕の欲求を満たしてくれて当たり前
- 僕の気持ちをわかってくれて当たり前
- 僕の期待に答えてくれて当たり前
-
このように思っています。
それで、お母さんが自分の期待に応えてくれないと感情を爆発させて地団駄を踏んだり…文句を言ったり…ワガママを言ったりしてお母さんを困らせます。
二面性を持つ夫もこのような小さな子どもと基本的には同じ精神状態に戻っているのです。
では、一体なぜいい大人が子どもがえりをするのでしょうか?
根本原因は『妻への甘え』
「なぜいい大人が子どもがえりをするのか」この答えを明かす前に、少し脱線して、私たちも二面性を持つモラハラ夫と同じような経験をしているかも??
というをお話をします。
実は、女性と男性とに関わらず、多くの人が子どもがえりの経験を”今でも”しています。
それはどんな時かと言いますと、私たちが母親や父親と電話で話したり、直接会ったりする時です。
赤の他人から言われても大して気にもしないことなのに、同じことを両親から言われると、ムキになったり、面倒くさがったりすることはありませんか?
許せなかったり、素直に話を聞けなかったりすることもあると思います。
普段は人に怒りを向けない人でも両親に対してだけは感情的になってしまったり、、、
実際のところ、私たちは大人になっても両親の前では子どもがえりをしてしまう傾向があるのです。
なぜかといいますと、その原因が「甘え」にあるからです。
「甘え」というのは、実に不思議なものです。
普段は理性的でキチッと自分をコントロールできている人でも、甘えを許される状況に置かれると感情的な自分がコロッと出てしまう…
このことと同じように、二面性を持つ夫が妻の前でだけ子供がえりをしてしまうのは「甘え」に原因があるのです。
夫が妻に甘える理由
ということで、話を元に戻しましょう。
二面性を持つモラハラ夫が子どもがえりをしてしまうのは一体なぜか?
もうあなたはお分かりだと思います。
その答えは、妻がモラハラ夫に甘えを許す状況を作ってしまうからになります。
では、妻はどうやってその状況を作っていると思いますか?
それは、、、
妻の『心の穴』による無意識の行動によってになります。
たとえば、モラハラされやすい妻によく見られる心の穴の一つに「従順さ」があります。
-
-
- 夫を立てる妻
- よく気が利く妻
- 我慢できる妻
- 尽くす妻
-
これらはどれも良い夫婦関係を築くためにはとても大事なものだと、一般的には考えられていると思います。
しかし、健全な夫婦関係という観点から見ると、必ずしもこれは美化されるものではありません。
なぜなら、妻が従順であると夫と『対等な関係』を築けないからです。
夫が妻に甘えて子どもがえりをして、
-
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- 不機嫌になって黙り込んだり
- 怒りを妻にぶつけたり
- 自分の正しさを押し付けてきたり
-
成熟した大人とは思えない言動を平気で取るようになるのは、夫婦が対等な関係性ではないからなのです。
ですから、妻が夫と対等な関係を持てるようになると、二面性のある夫は妻に甘えることができなくなります。
そして、夫のモラハラ言動も少しずつ影を潜めるようになるのです。
⇒ 著者:モラハラ改善カウンセラー 大脇秀一郎のプロフィールはこちら
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